幼なじみじゃ、いられない。
「あっ……」
ふと目に入ったのは、楽器屋さん。
「楽譜、あたし楽譜見たいかも」
思い出したように言うと、りっくんは「了解」と返事してくれて、あたし達は店内に入った。
楽器屋さんの壁側は本棚になっていて、分厚いものから薄いものまで、沢山の楽譜が並ぶ。
「何か弾きたい曲でもあるの?」
「ううん、その逆。次の夏の発表会、何弾こうかなって考えてて……」
「ひな、もう次のこと考えてるんだ?」
「うん。だってあたし、りっくんみたいに要領良くないし、今から少しずつでも練習しないと間に合わないもん」
手に取った楽譜をパラリとめくって、その難易度にため息を吐く。
りっくん家のピアノ教室では7月と12月の年2回、発表会がある。
コンテストとは違って、誰かと競うわけじゃない。
それぞれの練習の成果をお披露目する場所。
とはいえ、高校生にもなるとそれなりの実力を求められるというか……。