幼なじみじゃ、いられない。
すると──。
「ごめん」
目の前から聞こえた声に、あたしはパチッと目を開く。
「俺、ちょっと急ぎすぎだね」
そう言って苦笑するりっくんの顔は、いつの間にかさっきよりも離れたところにあって。
「あっ……」
「ゆっくりで大丈夫だから」
何を言おうとしたのか、自分でも分からない。
だけど何かがまずいと思って、何でもいいから口を開こうとした……そんなあたしを、りっくんの言葉が遮った。
そして、
「ほら、そんな顔しないで」
ポンポンと、あたしの頭を軽く撫でるりっくん。
そのまま、いつものようにフッと優しく微笑むと、「行こう」とあたしの前に手を差し出た。