幼なじみじゃ、いられない。


「──あ、やばっ、中庭にスマホ忘れてきちゃったかも」

「えっ、それマジでヤバいやつじゃん」

「早く取りに行かないと」

「うん、行ってくる!」


昼食を終えて、教室へと戻ろうとしていた途中。

「先に戻っていいよ」と付け足して、あたしは佳穂ちゃんと千明ちゃんに手を振りながら背を向けた。



「……あ、あった」


中庭に戻ると、さっきまで座っていたベンチにスマホが残っていた。


「良かった……」


あたしはそれを拾い上げ、ブレザーのポケットに入れる。

そして今度こそ教室に戻ろうと、振り返った……時だった。


あたしの目線の先、歩いていく男女の生徒の姿。



それは……大地くんと、椎名さん。



「ねぇ、今日家行ってもいい?」

「……ダメ」

「えー、何で?」


大地くんの腕を組んで、クスクスと笑う椎名さんの声があたしの耳まで届く。


──なんだ、まだ続いてるんじゃん。


そう思った瞬間、椎名さんがこっちに気付いて、勝ち誇ったように笑った。
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