敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
彼にそこまで強く想いを寄せられているなんて気が付かなかった。しかも妹としてではなく、ひとりの女性として。なんだか信じられない。
「杏が結婚したと知っても、それでもずっと想い続けてた。もう手に入れることができなくなっても杏のことだけが好きだった。だから俺の想いはそう簡単には消えないから安心しろ。離さないから」
匡くんが私に覆い被さるように抱き着いてくる。
私を自分の腕の中に閉じ込めて逃がさないとでもいうような熱い抱擁に、彼の全身で守られているのだと実感できて不思議と心が落ち着いた。
「予定通り明日は婚姻届を出しに行く。プロポーズの答えは〝はい〟だけだ。それ以外のことをまだ言う気ならその口を何度でも塞ぐからな」
匡くんはこんなに強引な人だっただろうか。少なくとも、こんな風に感情的になって自分の気持ちをぶつけてくるような人じゃなかった。
でも、今はその強引さすらも頼もしく思える。
一度目の結婚でひどい裏切られ方をしたこともあり、匡くんの誠実な言葉と真っ直ぐな気持ちが私の心を癒すようににじんわりと染みていった。