敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
食べたい気持ちが膨れ上がっていき、網の上に乗せたお肉を美味しく頂いている自分の姿をつい想像してしまう。
まずはなにを食べようかな……。
「……牛たん。あと牛ロース、タン塩、ハラミ」
『カルビは?』
「食べる!」
即答したら電話の向こうで匡くんが静かに笑う気配がした。
『好きなの全部食べていいよ。店は俺が決めるから』
……どうしよう。焼肉に行く方向で話がまとまってしまった。
食事に行くことを渋っていたはずが、お肉の誘惑にあっさりと負けた私はなんて単純なのだろう。
そんな自分に呆れているうちに匡くんがどんどん具体的に話を進めていき、お互いの予定を擦り合わせた結果、食事は四日後の土曜日に決まった。