敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている

 結局、四切れ中三切れのシャトーブリアンが私のお腹におさまった。

 それから冷麺、デザートと続きコース料理が終了する。

「美味しかったぁ」

 顔の前で両手を合わせて「ごちそうさまでした」と、匡くんに向かって頭を下げる。

「こんなに贅沢したの久しぶりかも。連れてきてくれてありがとう、匡くん」
「いえいえ」

 食後のブラックコーヒーを飲みながら匡くんが首を横に振った。私もカップに口をつけるも苦くて顔をしかめてしまう。

「離婚してからずっと節約生活だったし外食も一度もしていなかったから、今日はすごく楽しかった」

 自分からふと口にした〝離婚〟というワードで、そういえば匡くんが私の離婚について聞きたがっていることを思い出した。

 今日はそのために私を焼肉に誘ってくれたはず。

 どうやら彼も私に聞き出すタイミングを見計らっていたらしい。口をつけていたカップを静かに置きながら「それで、離婚の理由は?」と、とうとう本題を振ってくる。

 それについて話すのは気乗りしないけれど、ここまできて話さないわけにもいかない。私は無理やり口角を持ち上げて、へらへらと笑った。

「それがさ、ひどいんだよ。元夫が職場の女の子と不倫してたの」

 沖縄で牧田さんに話したときのように、もう気にしていません、吹っ切れていますよー、という雰囲気を出すため必死に笑顔を作った。
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