八千代くんのものになるまで、15秒
もう風邪を引いているとか、嘘なんじゃないか。
だって、いつも通りの梓希くん過ぎる。
「もうっ、」
いつも通り、私は一枚も二枚も上手の梓希くんに翻弄されている。
「……中学の卒業アルバムが見たいって、前に言ってたでしょ。
あと、普段どんな映画観てるのかも気になるって」
「え?」
梓希くんの言葉に、私はパチパチと瞬きをした。
「そういうの、見せてあげようと思って誘っただけ。
親がいないって言ったのも、事前に言ったほうが緊張しないかなと思って」
い、いや緊張したよ!
別の意味でだけど!
「そしたら蓮、顔真っ赤にするから。
あ、失敗したかなって思ったよ。変に意識させちゃったなって」
「あう、」
「……でも、"行く"って言ったでしょ。
小さな声で。」