八千代くんのものになるまで、15秒
だって、とってもよく似てる。
目元とか、声も。
でも、穏やかな八千代くんとは違って、仁さんって人はザ・アクティブってイメージ。
「1ヶ月ぶりくらいだねぇ。梓希くん、元気だった?」
優しく笑いかける百合さんに、八千代くんの瞳が、一瞬儚げに揺れた。
「……うん。元気。百合さんは?」
「元気元気!今はレポートに追われてるけどっ」
「そう。俺も明後日からテスト」
「そうなんだ!お互い頑張ろうねっ」
眩しそうに目を細める。
そんな八千代くんに、私は無意識に手のひらをぎゅっと握りしめていた。
「倉木」
八千代くんの声にハッとする。
自分の手のひらを見ると、少しだけ赤くなってた。
「もう分かってると思うけど、これ、俺の兄貴」
「あっ、ど、どうも初めまして……!八千代くんのクラスメイトの倉木蓮です!」
バッと頭を下げてから、恐る恐る八千代くんのお兄さん……仁さんを見上げた。
「おー。初めまして。梓希の彼女じゃねぇの?」