次の日。
今日の三限目は体育だ。
女子はどうやらバレーボールらしい。
チームスポーツは私には向いていないのでここはパス。
クラスのみんながいなくなったタイミングで携帯とイヤホンをもって屋上に向かった。
本当は学校では携帯は使用禁止だが、こういう時のために机に忍ばせておいたのだ。

恐る恐る屋上のドアを開ける。
”ギーーー”という音とともに、生ぬるい風が身を包んだ。
セミの鳴き声、木の葉が揺れる音、風のささやき、その全てが私の耳に吸い込まれた。
気温は相変わらず高く、前髪がおでこに張り付く。
このまま屋上のドアの前に突っ立っていたらいつまでも汗が止まらないので、とりあえず日陰に移動することにした。
地面に寝転がり、イヤホンをつける。

汗で背中に制服が張り付いて気持ち悪い。
腕で目元を隠し、少しでも暑さを紛らわそうとする。
この暑さが収まるのはいったいいつなのだろうか。
いや、もういっそ来なくてもいいかもしれない。
このままずっと、ここでこうやって寝転がっていたい。
時なんかたたなくていい。
私には、もう何もないから。


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