あ

私はというと、あまり興味は出ない。
正直、犯人なんてだれでもいいし、まだ本当に盗まれたかどうかだって怪しい。
なのにみんなして犯人捜しとか馬鹿みたい。
私は先生にばれないようにそっとワイヤレスイヤホンを耳にはめ、そのままホームルームは終了した。
この日の一限目は歴史だった。
歴史の先生は、私的には上部分がはげかかったメガネのおじさんってイメージが勝手にあるけど、このクラスの歴史を担当している先生は二十代後半でピンク色のロングスカートをはいたとても女性らしく可愛い鈴木華乃という先生だ。男子にも女子にも人気の明るい人で、私も何度か一人暮らしの事で相談をしてもらった事がある。
「じゃあ授業始めまーす。……あ、ごめん。ノートパソコン忘れてきちゃったから待っててくれる？」
先生は鞄の中をあさっているが、パソコンがないことに気づくと”ごめんね”と頭をかきながら笑った。
おっちょこちょいな先生なのだ。
先生が慌てて職員室に向かったので、私たちのクラスはほぼ休み時間と変わらない声量でみんな話している。
「ねえ、優希さん。」
すると、前から声をかけられたので振り向くと、私の嫌いな女子グループが揃ってこっちを見ていた。
川西遥。このグループのリーダー。