「……忘れ物したので取りに来ました。」
ドアを開けたら一気に視線が私に注目したので、一応ここに来た用途を告げた。
急いで自分の席に向かい、手だけを引き出しの中に入れて財布を探す。
……あ、あった。
財布を持ってきたことがバレないようにそっとカバンの中に入れて、すぐにその場から立ち去ろうとした。
「優希さんです。瀬戸さんを落としたの。」
え?今、私って言った?
足を止め、声がした方を見た。
「……あんた、何言ってんの?」
教壇の前で先生と向かい合っているため、顔が見えない。
二人のうち、どっちが言ったのかはわからいけど、うそを言われたのは確かだ。
「え……川西さん、それ本当?」
「はい。この目で見ました。ね?」
「あ…は、い。見ました……」
川西?誰だっけ……?
あともう一人の子は誰?
「先生、違います。私じゃありません。」
「そ、そうよね。優希さんがそんなことするわけ……ね?」
先生は両腕をさすりながら私に疑いの目を向けた。軽蔑の目だ。
なんで……?なんでそんなウソを言うのか理解ができない。
「……正直、私だって信じたくないです。でも……見たんです!!優希さんが………瀬戸さんのことを、屋上から突き落として……」
「泣かないで、川西さん…先生、本当なんです……!」
「え、でもまさか、え?」
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