先生は混乱している様子だ。
無理もない。自分の生徒が殺人犯だといわれたのだから。
おそらく、噓だということは信じてもらえないだろう。
まず、なんでこの子たちはそんなウソを言うのだろうか。
川西さんは顔を手で隠して泣いていて、もう一人の子は川西さんを慰めながら私のことを睨んでいる。
「あのさ、あんたたちさっきからわけわかんないんだけど。証拠あんの?」
証拠なんてあるわけない。だって私はやっていないんだから。
しかも朝はいつもと同じ時間に登校してきた。ほかの人に聞けば一人は私のことを見たという人はいるだろう。
「それは……見たんだもん。私、見たんだってば!!」
川西さんはまた大きい声を出して泣き喚いた。
え、なに?そんな子供みたいな理由で私を責めてるの?
先生もすっかり信じてしまったのか、私に近寄ろうとしない。
普通なら、すぐに駆け寄ってくれて、”そんなわけないよね”って私のことを信じてくれるものじゃないの?
証拠すらないのに、先生は川西さんたちのことを信じるの?
私って……そんなに信用されてない?
「だって、今日の朝だって、優希さん一人だけ泣いていなかった!みんな泣いてたのに!それに、あまり瀬戸さんと優希さん、仲がよさそうには見えなかったし……いつも瀬戸さんが話しかけてもそっけなく返すだけで、瀬戸さんかわいそうだったし……!」
「泣いてなかった子は他にもいたけど?大体、泣かなかっただけで怪しまれんの?仲良く見えなかったってだけでそんなこと言われんの?証拠もないくせに責め立てんなよ!」
荒い口調でにらみつけたら、二人は一気に静まり返った。
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