君と恋をするための三か条
エプロンと帽子を脱ぎ捨て、ホテルの裏口から出た瞬間に全力で走り出す。

団体の旅行客の遅い昼食が入り、店を出たのは二時四十分。
麗花には遅れる旨をメールで伝えたけれど、待ちぼうけさせてしまった。

約五分走り続け、体力には自信があるものの肩で息をしていて額は汗ばむ。
麗花が先に入って待っているところは、女子に人気のスイーツを取り扱っているお洒落全開のカフェ。

こんなみすぼらしい男が入るには場違いにも程があるだろう。
せめて汗を丁寧に拭い、深呼吸して無理やり呼吸を落ち着かせる。

店に入ると、甲高い声の「いらっしゃいませー」が飛び交う。
女性ばかりの空間にいたたまれず、はやる気持ちで麗花の姿を探す。
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