君と恋をするための三か条

「はあ。美味しかった。 ご馳走様でした」

店を出てからもにこにこと上機嫌の麗花の隣を歩く。
まだもう少し時間があるので、腹ごなしに散歩でもしようということになったのだ。

何しろ今日は親睦を深めるためのデートみたいなもの。

「デザートをもっと工夫してもいいかもなあ。あのパンケーキのふわふわ具合とか、参考になった」

仕事脳になりかかっているのに気が付き、はっとして麗花に詫びる。
仕事の話なんて面白くないよな。退屈させてどうする。

「ううん。新の料理、美味しいもの。こうやってヒントを見つけるのね。貴重なシーンを見られたわ」

麗花はたぶん、俺の事をビジネスパートナーか何かだと思っている。
それかただの友達。

少なくとも、男として微塵も意識などしていないことは確かだ。
もとより彼女に、俺と恋をする気などないのだから。
< 28 / 69 >

この作品をシェア

pagetop