君と恋をするための三か条
「はあ。美味しかった。 ご馳走様でした」
店を出てからもにこにこと上機嫌の麗花の隣を歩く。
まだもう少し時間があるので、腹ごなしに散歩でもしようということになったのだ。
何しろ今日は親睦を深めるためのデートみたいなもの。
「デザートをもっと工夫してもいいかもなあ。あのパンケーキのふわふわ具合とか、参考になった」
仕事脳になりかかっているのに気が付き、はっとして麗花に詫びる。
仕事の話なんて面白くないよな。退屈させてどうする。
「ううん。新の料理、美味しいもの。こうやってヒントを見つけるのね。貴重なシーンを見られたわ」
麗花はたぶん、俺の事をビジネスパートナーか何かだと思っている。
それかただの友達。
少なくとも、男として微塵も意識などしていないことは確かだ。
もとより彼女に、俺と恋をする気などないのだから。