君と恋をするための三か条
「これから色んなところに一緒に行けば、そんなものいくらでも出くわすぞ」

「そうね。新メニュー誕生の瞬間とか、楽しみ」

さらっとこの先の話もしてみるも、効果なし。
無邪気な楽しみを増やしただけだった。
まあ、笑ってくれるならそれはそれでいいが…。

「じゃあ早速、来週の土曜は休みを取れそうだから、一日デートしよう」

「デートとか言わないで」

…なるほど。直接的な単語じゃないと伝わらないのか。
平静を保っているようだけど、微かに頬を火照らせ口ごもる彼女の反応にふっと微笑む。

愛とか恋とかいらない、なんて言っているから、当然男慣れもしていないのだろう。

それは余計、俺の中の小さな感情を掻き立てた。
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