君と恋をするための三か条


翌週の土曜は久しぶりの休日だった。
俺は朝から水族館のホームページを見ては、イルカショーやらアシカショー、しろくま、ペンギンの餌やり…いろんなイベントの時間を確認し、頭の中で計画を立てる。

今日は、麗花と契約結婚をすると決めてから初めてのまともなデートだ。
彼女の希望は全て叶えたい。

もともと、麗花の父親に挨拶に行くまで一ヶ月しかないというのに、土日休みというわけにはいかない俺と麗花の都合が合わず、ふたりで会ったのは最初と、先日のカフェでだけ。

彼女が水族館に行きたいと言ったので、俺はその時から内心浮き足立っている。
一日中麗花と一緒。

これだけで、仕事中も副料理長の後藤さんに気味悪がられるくらい浮かれてしまう。
何から何までいつもより温厚だったらしい。

他人にここまで心揺さぶられるのは初めてだ。
その理由は、既に分かっている。

だからこそ、彼女の気持ちを大切にしなければならない。
今、俺と麗花の思考は信じられないくらいに正反対なのだから。
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