君と恋をするための三か条
「もともと天気が悪いのは分かっていたし、せっかくのデートだからめいっぱい楽しみたいと思って……え、気張りすぎた?」

俺はそれくらい楽しみにしていたけれど、麗花もそうだとは限らないのか。
今更気づいた温度差に羞恥心でいっぱいになり、麗花の真っ直ぐな瞳に全身が熱くなる。

すると麗花がくすっと笑い声を上げた。
肩を揺らして笑い出す。

「ふっ…ふふ。 そんなことないよ。ショーの時間とか全部覚えてるんだものね。水族館なんて子供っぽいところ、つまらないかなってちょっと心配していたけど、たくさん考えてくれて、楽しもうとしてくれて嬉しいわ」

麗花が笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を拭い、素直な気持ちを口にする。
そんな言葉に、期待しそうになる自分を押し込めて、俺は微笑んだ。

「それじゃあ、全部楽しもう。まずはデッキの方でペンギンの餌やりタイムが……」

ふと手のひらに感じた微かな冷たさに、麗花と顔を見合わせる。
まさか、とふたりで顔を顰めていると、途端に全身を大粒の雨が襲った。
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