そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?


「クラウド王子の正妃には、私よりもっとふさわしい方がいらっしゃいますわ……なのでこの先、クラウド王子に心から愛する女性が現れた時、後腐れなく身を引けたらと考えております」


メレディスとクラウドの恋を応援して、破滅ルートを回避した先にあるのは、ゼノンと共に生きる未来だ。


「私は王子の花嫁よりも、お父様のそばで働けたら幸せです」


どうしてもそこに辿り着きたいという意志のもと呟かれたソフィアの言葉に、ゼノンはふっと笑みをこぼす。

そして前へ身を乗り出して、不思議そうに首を傾げたソフィアの手を掴み取る。


「それならあの王子の元へ行かず、ずっとそばにいたらいい。俺の花嫁として」

「……お、お父様。今、なんて仰って?」

「あいつじゃなくて、俺の花嫁になれと言った」


聞き間違いかと思ったが、「俺の花嫁」とはっきり繰り返され、ソフィアは目を大きくする。


「ちょっと待ってください。私は、お父様の娘ですよ。婚姻を結べるばずが……」

「結べる。お前は俺の娘じゃないから」

「いくら私に興味がないからと言って、そんなふうに仰らないで。悲しくなるわ」


< 130 / 276 >

この作品をシェア

pagetop