そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「それはハンナの力が入ったクリスタルだ。俺たちのは王冠の上に」
そうなのねと小ぶりのクリスタルをじっと観察してから、ソフィアは慎重に王冠にクリスタルを乗せる。
ガコンと重々しい音を立てて、クリスタルが王冠の中へわずかに沈み、部屋の扉が青白く、そして金へと色を変えながら数秒輝きを放った。
光が収まり、何事もなかったかのように扉が元に戻ると、ゼノンは「ひとりで、もしくは先に入室する時はこうやって」と説明の言葉と共に狼の王冠部分に手をかざし開錠し、そして扉を開け、「どうぞ」とソフィアを中へ招き入れる。
「……魔力を鍵代わりにしているということかしら」
戸口をくぐり抜けて玄関内に入ると、ガチャリと重々しい音を立てつつ勝手に施錠される。
室内の短い廊下の先にまた扉がふたつあるのを確認しながらソフィアが今目にしたことへの考えを述べると、ゼノンがニヤリと笑う。
「あぁ。これも魔力研究の末に生み出された賜物だ。魔力が微量だと反応しないことがあるが、魔族であればなんの問題なく使用できるだろう」
だから寮母さんはクリスタルと鍵の両方をもっていたのねと今更ながら合点がいく。