そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
森を抜けると二階建ての建物が現れ、その前に一号館の一年生数人とケイト先生、それからイルバクト学長の姿もあった。
集まっている人々に近づいていくとイルバクト学長がソフィアたちに気付いた。
にこりと笑いかけられ、ソフィアはイルバクト学長にお辞儀をする。
他の一年生たちもソフィアへ「おはよう」と、そしてゼノンにも「おはようございます」と気軽に声をかけてくる。
ナタリアによりゼノンが「ソフィアの保護者的存在」だということが広まり、そしてイルバクト学長の「彼は講師を目指している」という冗談をクラスメイトたちは信じるように。
あまり国民の前に出ていないし、名前も伏せているため、ゼノンが国王というのはバレていない。
しかし、優秀なのは皆感じているようで、憧れの眼差しを向ける者も現れるほど。
ソフィアたちの後からも、生徒たちが何人か小走りでやってきたところで、アカデミーのチャイムが響き渡り、イルバクト学長がゴホンと咳払いした。
「本日の薬草学の講義は、僭越ながら私が担当させてもらいます」
まさかの宣言に生徒たちからどよめきが上がる。
ソフィアももちろん驚いたが、ゼノンが特に反応を示していないことから、知っていたからついてきたのねと納得する。