そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「ううん、私が俊敏に逃げられていたらよかったの。自分のどん臭さで、お父様を怒らせてしまったかと思って、ちょっと悲しかったわ」
「……確かにあの時俺は怒っていた。でもそれはソフィアに対してじゃなく自分自身にだ。エドマンドの娘を俺が守ると誓って連れてきたのに、自分の不甲斐なさをしばらく許せなかったよ」
自分の父の名前を出されても顔も知らないため、どんな人か想像すらできないけれど、ゼノンと強い絆で結ばれていただろうことだけはしっかりと感じ取れた。
「お父様、助けてくれてありがとう。あなたは私の自慢の父親よ」
ソフィアがにこりと笑いかけると、ゼノンは辛そうに瞳を伏せた。
「そう言ってもらえるほど、自分が立派な父親でないのはちゃんと分かってる。王様業が忙しいのを理由にソフィアをずっと蔑ろにしてきた。正直、どう接していいのかわからなかったんだ。俺には愛情というものもよくわからない」
ずっと自分は嫌われているとばかり思っていたけれど、実はそうではなかったのかもしれないと、ソフィアは気付かされる。