そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

乙女ゲーム『メレディスの祝祭歌』で、ゼノンは幼い頃に母親を、そしてミルドフキローアカデミーを卒業した頃に、国王だった父親を何者かによって暗殺されたことになっていた。

ロッシュドギアは実力主義のため、次の国王を決めるべく五人の兄たちが争いを始め、当然、刃はゼノンにも向けられる。

自分の身を守るべく必死に応戦したゼノンは、その優れていた能力ゆえに、見事兄たちを返り討ちにするが、しかしそれは国王の座に着くことに繋がってしまう。

殺伐とした中で、誰かに心を許せることなく育ってきたのではと、転生前、ゲームをしながらゼノンに対してそんな風に感じたことを思い出す。

ソフィアが破滅を迎えずに済むエンディングでは、父のためにと研究に勤しむソフィアにゼノンがちょっぴり優しい言葉をかける場面もあった。

スチルこそなかったけれど、その時、転生前の自分は、ソフィアに対してゼノンが微笑んでいるような光景を頭の中で思い浮かべていた。

そして、更に思い出し、ソフィアは小さく息をのむ。

ゼノンの寂しさや孤独を、私なら理解できる。癒してあげたい。彼の傍にいるだけでもいい。

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