そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
ソフィアが身構えると同時に熱風が走り、コップの割れる音と水の蒸発音に店内がわずかにざわめき出す。
「随分派手にやっているな」
言葉と共にソフィアの傍に立った年若い姿のゼノンに、アルヴィンは「おじさま」とほんの一瞬青ざめる。
「アンドリッジの名を持つ一員としての自覚はあってのことか?」
ゼノンの問いかけに、アルヴィンは苦しそうに顔を歪めた。
「悔しい思いをさせられたのなら、実力を磨け。このような行為では誰ひとりとして見返すことなどできない」
続いた説教にぐっと唇を噛み締めてから、アルヴィンは「ふん」と顔を逸らして、店を出ていく。
気まずそうに頭を下げ、アルヴィンを追いかけようとした侍従を、ゼノンは「おい」と呼び止めた。
「お前はなんのためにそこにいる。アルヴィンを止めもせず、むしろ笑って見ていたお前は不愉快だ。その首はねてしまおうか」
「申し訳ございません」と侍従は深く頭を下げた後、動揺の面持ちのままそそくさと店を出ていく。
アルヴィンと共にパンケーキを食べていた生徒たちも、アルヴィンの「おじさま」という呟きから、目の前にいる少年の本来の姿に気付いたらしく、次々と逃げるように店を後にした。