そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「私はゼノンとの幸せな未来を望んでも良いのかしら」
もしこの選択が、破滅への一歩だったとしても……自分で選んだ道だから後悔はしない。
「私はあなたと一緒に幸せになりたい」
ゼノンとの幸せな未来を得るために、どこまでももがいてみせる。
メレディスには負けたくないと強く思いながらソフィアがゼノンの腕に触れると、それが引き金となったように、ゼノンの顔がソフィアへと近づく。
口づけを受け入れるようにソフィアが目を閉じた瞬間、ドアベルが鳴り響いた。
「……誰か来たわ」
「無視でいい」
ゼノンは離してくれず、しかしドアベルはしつこく繰り返される。
「でも」とソフィアが戸惑いの声をあげた瞬間、ガチャリと開錠音が響いた。
扉の鍵を開けられるのは、ゼノンとソフィアとハンナの三人のみ。
しかし、ハンナならドアベルを鳴らすことはしないはずで、誰が鍵を開けたのかとソフィアは思わず身構える。
ほどなくして「ふんふん」と上機嫌な鼻歌が聞こえてきて、ゼノンが「今来るか」と苛立ったため息を吐く。
その言葉と鼻歌で、ソフィアも入ってきたのが誰かを察し、咄嗟にゼノンと距離を置いた。