そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
虚しくてたまらなくなり大きくため息をついた時、廊下から近づいてくる足音が聞こえてきて、視線をあげるとバタンと扉が開かれた。
「姫様!」
慌てて部屋に飛び込んできたマシューがベッド脇まで一気に歩み寄ってくる。
「ご気分はいかがですか? 三日も目覚めなかったから、心配しておりました」
「わ、私、三日も寝ていたの?」
水蛇に襲われて気を失ってから、そんなに経っていたのかとソフィアは唖然としていたが、不安顔のマシューにじっと見つめられていることに気付き、すぐさま笑みを浮かべる。
「で、でももう大丈夫よ。心配かけてごめんなさい」
ソフィアの微笑みで、マシューは強張っていた表情を和らげ、小さな手を大きな両手で包み込むように握りしめた。
「心の底からホッとしております。国王様にも早くお伝えしなくては、とっても心配しておられましたから」
三日前のソフィアだったら、マシューのその言葉に飛び跳ねるほどの喜びを感じていたことだろう。
しかし、今のソフィアの心には何一つ響かない。
「……お父様が、私を心配?」
そんな馬鹿なと、ソフィアは心の中で付け加える。