そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
いつものようにアルヴィンに馬鹿にされ、ソフィアはカチンときて眉根寄せる。
「あなたこそ、有意義な学びの時間をどうして自分から無駄にするの? やる気がないなら、私が代わりに授業を受けさせていただきたいくらいだわ」
胸を張って言い返したソフィアに、アルヴィンは顔を真っ赤にして言葉を失う。
ハンナは「姫さま」と慌てるが、執事も教育係も笑みを噛み殺しているような顔をする。
「ソフィア姫は半魔族であられても、歴代の王の中でも群を抜いて優秀とされるゼノンさまの娘だぞ。うかうかしていたら、追い抜かれてしまうかもしれないな」
教育係の男は最後に「失礼する」と言い残して、図書館を出ていく。その後ろ姿を見つめていたソフィアに、「おい!」とアルヴィンが詰め寄る。
「お前が余計なことを言うから、行ってしまったじゃないか! どうしてくれる!」
「それは、あなたのやる気がないのが原因でしょ? 追いかけて自分の態度を謝罪すべきよ。今ならまだ間に合うわ」
再び言い返してくるとは思わなかったらしく、アルヴィンは「お、お前」と唇を震わせる。
ソフィアの発言にハラハラした面持ちのハンナの横で、執事は「その通りでございます」と深く頷いた。