そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?


「まさか姫様の初めての魔力属性が光になるだなんて、とっても驚きました……けど、姫様もルイス様も驚いていらっしゃいませんでしたね。昨朝はいったい何があったのですか? 独学で治癒をやって退けたとはいったい。ご説明くださいまし」


勢いを殺さぬままハンナに詰め寄られ、ソフィアは椅子に座ったまま身をのけぞらせる。


「あぁそれと、姫様はルイス様のことをいつからご存じで?」

「……え? 一昨日、図書館で会ったのが初めてよ」


不意打ちのような質問に、ソフィアがキョトンとして答えると、ハンナも目を大きくさせて首を傾げた。


「それならどうしてルイス様のお名前を知っていらしたのですか? 私もうろ覚え程度でしかお名前を存じておりませんでしたのに」


しまったと、ソフィアは顔を強張らせる。

パーソナルデータを見ただなんて言えるはずもなく、「……ゆ、夢の中のお告げよ」と弱々しく答えたのだった。




ソフィアの魔力属性の鑑定が行われてから三ヶ月が経った。


「今週、あなたこれで三度目よ。もう少し落ち着いた方がいいんじゃない?」


屋敷を取り囲む森の中、ソフィアは切り株に座って、目の前にいる茶色のリスへと手をかざしながら話しかけた。

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