そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
確かに少し癖っ毛なところがアルヴィンと同じだが、それ以上に、冷たい眼差しがゼノンのそれを彷彿とさせ、ソフィアはつい身を震わせる。
父の兄であるなら、私はあなたの姪にあたるはずなのだけどと、親族ではなく、まるで虫ケラでも見下ろしているかのような面持ちの叔父に苦い気持ちにさせられる。
アルヴィンにはいつものように話しかけられたけれど、モーガンやその後ろに控えている男性たちからの視線が痛く、気軽に返事ができる雰囲気ではない。
視線をアルヴィンに向けはしても言葉を発せられずにいるソフィアに代わって、マシューが答えた。
「ゼノン様から姫様へ本の贈り物がありまして、それを取りに来た所でございます」
「……ほう。ゼノンが、娘に贈り物を」
アルヴィンではなくモーガンに反応され、マシューは表情をわずかに引き締めて姿勢を正し、「はい」と恭しく頷いた。
「今まで関心を示さなかったのに、どんな風の吹き回しやら……あぁそう言えば、アルヴィンの教育係が、君の光の魔力はとても優れていると話していたな」
疑わしいといった目でソフィアを見下ろすモーガンの横へ、後ろに控えていた恰幅の良い男が進み出て話しかける。