そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「だから手のひらを返したのでは? 将来自分の駒にするために」
瞬時にマシューが男に対し不快感を露わにし、男は怯んだように半歩後ずさるが、モーガンは気に留めることなく鼻で笑う。
「自分の利益にならぬことには無頓着なあれのことだ、そういうことだろう」
「今更惜しくなったと言っても、そうはいかんぞ。武族に嫁ぐのはこの娘だと赤子の頃から決まっていたんだ。うちの娘は絶対に嫁に出さんからな」
モーガンの後ろから恰幅の良い男が強気に言い返すと、他の男たちからも「そうだそうだ」と合いの手が入る。
騒がしくなった取り巻きたちに小さくため息をついてから、モーガンが冷たく言い放つ。
「優れていると言っても、所詮半魔族。期待はいずれ裏切られ、再び疎ましく思うようになるだろう。いっとき可愛がるくらいなら、いっそ約束の日など待たずに婚約を済ませ、武族へ渡してしまった方が、娘もはやく幸せになれるというものを」
確かに、努力が足りなければ再び疎ましく思われる時が来る。
もし努力しても、父の望み通りに成長できなかったならば……と、ソフィアの心に恐れが芽生える。
小さな拳をぎゅっと握り締めた時、後ろから伸びて来た手にソフィアは軽々と抱き上げられた。