シュクリ・エルムの涙◆

[2]春空のご馳走? *

 パパとママがあたしを呼んだのは、これからパパの故郷(ふるさと)ヴェルへ出発するからなの。

 あたしは二人に手を振りながら、笑顔で駆け寄って船に搭乗した。

 真っ白な気嚢(きのう)が春の青空に映える大きな飛行船。操縦はパパでもママでも出来るけれど、ずっとママの役目かな。だってママは飛行船の修理が出来る一等技師で、有能な操船士でもあるから。

 でもそのノウハウを教えてくれたのは、パパだっていう触れ込みだけど?

 話を少し戻すね。

 ヴェルで幸せな三日間を過ごした二人は、それから皆の待つ王宮へ出向き、政府の代表ロガールじじ様と面会をした。パパは王族から離脱することを宣言して、全ての権限は王家アイフェンマイアの一族に(ゆだ)ねること、『ラヴェンダー・ジュエル』は自分と共に在りたいと願っているから、それだけを戴いてママの故郷で生活をすること、その三つを告げてパパはママとこの地へ帰還した。

 けれどあたしは時々思う。パパは王様の地位と国を掌握出来る力を惜しくは思わなかったのかしら? ママもお妃様という優雅な名と煌びやかな生活に憧れなかったのかしら?

 でもきっとそれ以上の幸せがココにある、って思ったからこそ戻ってきたのだろう。いつかそれがあたしにも分かる時が来るのかな??


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