Screw driver
「Hazy」に来ると、いつも美月には甘いカクテルが出される。甘いお酒が大好きな美月にとっては幸せなことだ。

「お客様の好みはしっかり把握していますよ。美月さんが初めてこのバーに来た時に出したカクテルのことも、ちゃんと覚えています。それを飲んで、あなたがどんな顔をしていたのかも……」

ランプのほのかな明かりに照らされ、慶太の艶やかな瞳や髪はどこか妖艶な雰囲気を出している。ドラマのワンシーンのように美月は慶太に手を取られた。

世間一般でイケメンと呼ばれる慶太に手を取られ、美月の心拍数が上がっていく。それを見て慶太は「フフッ」と笑みを浮かべた。その表情に、このバーにいた多くの人が顔を赤く染めただろう。

「顔、真っ赤ですね。それにこんなにドキドキして本当に可愛らしい人だ」

「……それは、きっとカクテルのせいです」

美月は胸の高鳴りを誤魔化すため、慌ててカクテルを煽る。慶太は時々こうして美月を口説くような真似をしてくるのだ。

(イケメンがやると、「キッショ」とかならないんだよね……。顔がいいって罪だよ)
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