アイドルと私。
「あ、そうなの?俺てっきりまーが言ったかと思って、それだと紗莉ちゃん可哀想だなって。」

ううん、私から言ったんだし、雅人くんがそんな事言うはずない。

「まぁでもさ、紗莉ちゃんさ、我慢し過ぎるのも良くないし、遠慮し過ぎるのも良くないし、気を遣い過ぎるのも良くないからね!」

そう言って、最後の1口のモンブランをパクっと食べて、コーヒーで流し込む。

「ありがとう、気にしてくれて。」

「ううん、さっきから携帯がうるさくて、見なくてもまーって分かるしさ、そろそろ行こっか。」

確かに、お互いの携帯がひっきりなしに鳴ってる。早く戻ってこいの合図なのかも。

「ごちそうさま〜」

ってレジの前に立つ直樹くんの横に並んでいると、

「ここはいいから早く戻って!じゃなきゃ俺が殺されちゃうから!」

「え、でもお会計…」

「いいのいいの。俺が勝手に来たんだし。もしかしたら紗莉ちゃんは1人でゆっくり過ごしたかったかもしれないのに、俺が邪魔したからそのお詫び。そんな事より早く戻って!」

直樹くんの優しさに心からお礼を言って、私はマンションへと向かった。
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