アイドルと私。
何も無くて良かったからついつい話し込んじゃったけど、やっぱり沙莉ちゃんは俺の職業知らないんだ。自慢じゃないけどファンクラブ会員も100万人近く居て、新曲出せば歌番組に必ず出る俺らはまぁーまぁーの人たちは俺たちの事を知ってる。変装せずに道を歩けば、気付かれる事もしばしば。だから沙莉ちゃんぐらいの年代なら気付かないわけないのに、最初に会った時からそうだった。お店で会ったから周りに騒がれないようにしてくれてるのかな?とも思ったけど、LINEのやり取りや電話の違和感はやっぱり俺の職業知らないんだってなって、納得。まぁそこが沙莉ちゃんのいい所だよね。

楽しかった電話のやり取りを思い返しながら、今度どうやって沙莉ちゃんと会おうかなって考える。軽いとも思われたくないし、適当にあしらわれたくもない。ちゃんと俺の事見てほしいし、沙莉ちゃんにも見せて欲しい。

スケジュール帳を開くと今度の木曜日は午後からは何も入ってないから、

「沙莉ちゃん、今度の木曜日昼過ぎぐらいからデートしない?」

ってLINEを打って、その返信がいい返事になるのを期待して、ベッドに入った。
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