アイドルと私。
「着いた!ここなんだけど、沙莉ちゃんなら来たかったかなって思って。もしかしてもう来ちゃった?」
あ、目に見えない尻尾や耳が心無しかシュンって下がって見える。
「ううん。まだ来たこと無かったし、来てみたかったの。」
辿り着いた場所は最近出来たファッションビル。後輩は出来た当初に行ったみたいで、楽しかったと報告された。うちのビルとは取り扱ってるブランドも違って、1度は来てみたかった場所だ。勉強にもなるし、ショッピングは好き。だから思いのまま伝えたら、とびっきりの笑顔で
「よし、良かった!じゃあ1階から順に回ってこうか!気になるお店があったら中に入ってこ!それで7階からは飲食店もあるから、疲れたらそこで休憩しよ!ね!?」
あまりにも笑顔で言うから、こっちまでうん!って笑顔で頷いちゃった。なんかすっごい楽しそうだなって思った。また見えないはずの尻尾がブンブン振り回され、耳もピーンと張られている気がする。そのまま嬉しくて走り回りそうな犬に見えて仕方がない。ふふって笑うと
「何笑ってんの!?ほら、行くよ!」
って腕を引っ張られ、店内に入っていった。