若頭の溺愛の檻から、逃げられない
「もう瓶子さん!!

早くしてくださいよ!


若頭がご機嫌悪くされたら大変なんですから!!」




若頭…?



拓人さんはひどい慌てようで瓶子さんに詰め寄った。




急いできたのだろう。



先程は遠くて気づかなかったが、額に汗が浮かんでいる。



でも、そんな拓也さんに急かされても

瓶子さんは全く慌てる様子を見せず、
お茶を一口啜ると
 


「おう。」




とだけ返事をした。


なんだろう…この温度差……。

というか…若頭って…。




ぞっと嫌な予感がしてくる。



あの冬狼の人が、妹が事件を起こしたといえ

わざわざ家に訪ねてくるのか?



それに…若頭が早くしろっていうのは…?




まさかこの人達は…、




「よっこらせ…っと。」





ありがちな掛け声とともに、

瓶子さんは立ち上がると私の方に近づいてきた。



そのままら私に目線を合わせるように少し屈んだ。



「ちょっと目、瞑っててくれ。」


「で…でも…」



やばい、これはまずい…!

頭の中に危険信号が走る。




もしかしてこの人達、実は龍夏(りゅうか)の人なんじゃ…!?
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