旦那様は征服者~孔明編~
嫉妬は死を招く
「━━━━中浜 秋雨(しゅう)です!
仲良くしてください!」

牡丹が通う高校に、中浜の息子が転校してきた。

牡丹は秋雨を見ながら、孔明の言葉を思い返していた。


『牡丹』
『はい』

『今日、中浜 秋雨って奴が転校してくる。
絶対に、関わるな!いいな?』

『はい。わかりました!
でも、いつも彩名としか話さないようにしてるので、大丈夫かと…』

『いいから、誓え!』



「━━━━この人のことか…」
ポツリと呟く、牡丹。
「牡丹?」
「ん?」

「どうしたの?」
「ううん!」
心配そうに顔を覗いてくる彩名に、微笑んだ。

「あ、彼ね。
誠人の親友なのよ!」
「え……そう…なの?」

牡丹は“だからか…”と思う。

だから孔明は、あんなに必死に言ってきたのかと。



案の定、彩名とは知り合いなので秋雨が声をかけてきた。
「彩名ちゃん、よろしくね!」
「うん!あ、この子だよ!
皇木 牡丹ちゃん!」

「へぇー!君が!
可愛すぎ/////」
牡丹は、なるべく関わらないようにと会釈だけする。

「え?僕、嫌われてる?」
素っ気ない牡丹の態度に、苦笑いの秋雨。

「牡丹?どうしたの?
牡丹らしくない」
「ごめんね、彩名。
ちょっといいかな?」

秋雨に会釈し、彩名の手を引く牡丹。

廊下の端に連れ出した。
「牡丹?」

「ごめんね。
あんな態度……」
「でも、どうして?」

「理由は……言えない。
でも、あまり中浜くんには関わりたくない」

苦しそうな牡丹の表情。

「わかった!大丈夫だよ!」
と、微笑み言った彩名だった。

彩名のおかげで、秋雨とは関わらずに学校生活を送る牡丹。



二ヶ月程経ち、気が緩み始めていた━━━━━━

あの日。
彩名が体調不良で学校を休んだ為、牡丹は一人でお気に入りの中庭の東屋で弁当を食べていた。

「わぁ…美味しそうだね!」
突然、後ろから声をかけられた。

「え?あ、中浜くん!?」
「一緒に食べない?」

振り向き、驚く牡丹の横に座った秋雨。

「ご、ごめんなさい!一人がいいの!」
弁当を乱暴に包み、立ち上がる牡丹。
立ち去ろうとする。


「花神組の組長の女」

びっくりして、ゆっくり振り返る。



「………なんでしょ?」

秋雨が微笑んでいた。
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