旦那様は征服者~孔明編~
「孔明様…」
「おかえり」

「どうして……」

「今日はお前に“行ってきます”と“行ってらっしゃい”を言わずに出てきたからな。
ちゃんと、ここで“ただいま”と“おかえり”を言いたくてな」

「仕事は?」


「最低限は終わらせてきた」



牡丹はいくら孔明の支配下にあっても、この“皇木 孔明”から逃げられない。

この男は、極悪非道の組織・花神組の組長で、最低・最悪の魔王。

卑劣で、冷酷な男だ。

今まで何人の人間を、闇に葬ってきたかわからない。


牡丹にも、決して“自由”は与えない。

いつも監視・管理をして支配し、牡丹に近づく邪魔なモノを全て排除する。


それでも、牡丹に対しては慈しむように愛情を与え、大切に宝物のように扱う。

今日も挨拶をしていないというだけで、わざわざ仕事を切り上げ迎えに来たのだ。


「孔明様、ただいま帰りました」
「あぁ、おかえり」

「あ、あの、牡丹!」
「え?あ、彩名。
こちら、私の旦那様。
皇木 孔明さん。
孔明様。こちら、友達の港山 彩名さん」
孔明の素性がバレないか内心ヒヤヒヤしながら、牡丹は彩名に紹介した。

「こんにちは」
「あ…こ、こんにちは」

強面の孔明。
牡丹“だけ”には微笑むが、他人には決して微笑まない。
なので、余計に恐ろしい。

「孔明様、牡丹さん。そろそろ…」
伊丹が声をかける。

「あぁ。牡丹、行こうか」
そう言って、牡丹に微笑む。

「はい。彩名、また明日ね!」
「うん。後から電話していい?」
「あ、えーと…出れるかわからないな……」
「じゃあ、電話出来そうだったら連絡ちょうだい!」

「うん、わかった!」

車に乗り込むと、すぐに口唇を塞がれた。

「ンンン……」
「……牡丹、今日は学校どうだった?」
口唇が離れて、口元で囁く孔明。

「はい。楽しかったですよ」
「俺がいないのに?」
「そうゆう意味ではないです」

「じゃあ、どうゆう意味?
返答次第では、痕が酷くなるよ」
孔明は、制服の上から牡丹の身体をなぞった。

「彩名と孔明様の話をしました。
だいたい休み時間は、孔明様のことばかり考えてます。だから、楽しいんです。
今、何をしてるのかな?とか、孔明様も私を想ってくれてるかなとか考えてるから」

「そうか…
でもお前は“苦しい”とは感じないのか?」
「え?“苦しい”ですか?」

「俺は、お前に会えないと…死にそうになる。
息苦しくなって、息の仕方がわからなくなる」

「“会いたいな”とかは思いますが、苦しいってゆうのは……」
「牡丹」
「はい」
「忘れるな。
俺はお前を“想っている”なんてレベルじゃない。
“愛してる”なんてレベルも超えていることを……」

そう言って孔明は、牡丹の口唇に食らいつき貪った。
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