旦那様は征服者~孔明編~
風呂から上がりリビングダイニングに向かうと、伊丹が夕食の準備をしていた。

「遥大、水」
「はーい!」

ソファに座った孔明と牡丹に、ミネラルウォーターが入ったグラスを二つ持ってきた。

「どうぞー」
伊丹は、とても可愛らしい俗に言う犬系男子だ。
まだ27歳ながら、何をさせても完璧にこなす。
孔明を兄のように慕っている、花神組の組員だ。

基本的にこのマンションに住み込み、家政婦のようなことをしている。

そして孔明と牡丹の世話を、とても楽しそうにこなすのだ。
孔明も伊丹をとても信頼していて、伊丹にだけは牡丹と関わることを許している。

「孔明様」
「ん?」
「また、仕事行くんですよね?」
「あぁ。でも、お前が寝てから行く。安心しろ」

「それで、大丈夫なんですか?」

「あぁ。できる限り、牡丹に寂しい思いはさせない」
「はい…!」
頭を撫でる孔明に抱きつく牡丹だった。

夕食を食べていると、牡丹のスマホが震え出した。
でも、三人は誰も反応しない。

というより、反応してはいけない。

孔明は牡丹の意識が、常に自分“だけ”にないと満足しない。
ここで反応してスマホに意識を向けると、直ぐ様ベッドに連れていかれ、また壊れる程に抱かれ、心と身体に孔明の狂おしい愛情を刻み込まれるだけだ。

「ごちそうさまでした」
「ごちそうさん」

夕食後はベッドルームに向かい、孔明は酒を、牡丹は紅茶を飲みながらゆっくり話をする。

その間、孔明は決して牡丹から目を離さない。
牡丹も孔明から目を離さず、話をする。

「孔明様、今度ここに行ってみたいんですが……」
雑誌のページを見せながら、話す牡丹。

「ん?パンケーキの店?」
「はい!カップルに人気なんですって!」
「ん。わかった。考えておく」

「フフ…やったー」

現役の女子高生の牡丹。
普通のカップルのように、孔明と色んな所へ行きたいと思っている。

孔明はそんな牡丹の思いをくんで、できる限りのことはする。

「ん?待てよ」
「はい?」
「ここ、イケメン店員って書いてあるぞ」
「え……?」
(う、嘘…!?見てなかった…)

「牡丹」
「は、はい!」

「これは、どうゆうことだ?」

「知らなかったんです!!ごめんなさい、孔明様!!」
「せっかく、今日はもう…心地よい眠りにつけてやろうとしたのに……
大変だ、牡丹。
また牡丹は、壊される……!」

そして牡丹は、また孔明に抱き壊されたのだった。
< 6 / 23 >

この作品をシェア

pagetop