クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
母に電話する。

ソファーに座って、後ろから抱きしめられる形で修哉さんがいる。
こんなに近いと私は緊張するんだけど、
修哉さんは私に触れてると落ち着くらしい…。


呼び出し音が三回鳴って、
「もしもし。小春?」

「お母さん、久しぶり。」

「どうしたの?
最近忙しくて電話くれなかったのに、元気にしてる?」

「うん…。元気だよ。みんなは元気?」

「うちは変わらずバタバタよー。
ヒロが今も眠くてぐずぐずしてて」
ひろくんは私の小さな弟の名前、今3歳でまだまだ手が離せない。

「忙しい時にごめんね。」

お母さんとたわいの無い会話をしている間も、神妙な顔で聞き耳を立てている。
「私、実は…いろいろあって美容師の仕事辞めちゃったんだ。
忙しすぎて疲れちゃったのもあるんだけど…
上司の人と上手くいかなくなっちゃって」

「そうだったの。知らなかったけど、何か悩んでたんなら、なんで電話くれなかったの?1人でずっと頑張る事ないんだから、辛かったらいつでもこっちに戻ってきてくれていいんだよ。」

「うん。今は大丈夫。助けてくれる人も居るし、お弁当屋さんとかでバイトしてなんとかなってるよ」

「小春はいつも頑張り過ぎるから、体調崩してない?仕送りが必要ならいつでも送るから。」

「お金の事は大丈夫。貯金もあるし、無理もして無いよ。」

修哉さんが顎先をコツンとこめかみに当てて、目で変わってと合図してくる。

「…実は、あのね。
お母さんに紹介したい人がいて
…今変わりたいって言うんだけどいいかなぁ?」

「えっ何?
どういう事?いいけど…ちょっと気持ちの準備が…。」
突然過ぎてお母さんも慌ててる。

「今、変わるね。」
< 128 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop