財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
甘いマスクと経済力で時々マスコミにも取り上げられ、〝経済界の帝王〟と呼ばれている。
京極家は彼が小学生の頃、文京区のわが家からごく近いところに住んでいた。京極さんが中学に上がるタイミングで、今の目黒区の豪邸に引っ越しをしたが、私の兄の慎一とは中学、高校、学部は違うが大学まで一緒だった。
京極さんが夏休みにわが家へ遊びに来てくれたとき、ものすごい量の宿題をやっていた私に教えてくれたことがあった。それ以来、うちに来るたび『勉強でわからないところはある?』と聞いてくれていた。
あの頃、私は京極さんの来訪をずっと心待ちにしていた。
兄がスキルス性の胃がんになり亡くならなければ、今でも仲のいい友人でいたに違いない。病気の進行は早く、兄は発症してわずか半年後に息を引き取った。
兄は私と年が離れているのもあって昔からとても過保護で、常に見守ってくれていた。親友である京極さんはそれを知っていたから、兄亡き後を引き継ぐかのように気にかけてくれるようになったのだろう。気づけばもう五年が経つ。
本来なら親しくなるはずのない遠い別世界の人なのだから、私は京極さんとこうして会えるだけで満足だと思わなければ。
それから十分後、わが家の前に車が止められた。
京極家は彼が小学生の頃、文京区のわが家からごく近いところに住んでいた。京極さんが中学に上がるタイミングで、今の目黒区の豪邸に引っ越しをしたが、私の兄の慎一とは中学、高校、学部は違うが大学まで一緒だった。
京極さんが夏休みにわが家へ遊びに来てくれたとき、ものすごい量の宿題をやっていた私に教えてくれたことがあった。それ以来、うちに来るたび『勉強でわからないところはある?』と聞いてくれていた。
あの頃、私は京極さんの来訪をずっと心待ちにしていた。
兄がスキルス性の胃がんになり亡くならなければ、今でも仲のいい友人でいたに違いない。病気の進行は早く、兄は発症してわずか半年後に息を引き取った。
兄は私と年が離れているのもあって昔からとても過保護で、常に見守ってくれていた。親友である京極さんはそれを知っていたから、兄亡き後を引き継ぐかのように気にかけてくれるようになったのだろう。気づけばもう五年が経つ。
本来なら親しくなるはずのない遠い別世界の人なのだから、私は京極さんとこうして会えるだけで満足だと思わなければ。
それから十分後、わが家の前に車が止められた。