財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
「ただいま。まだ仕事をしていたんだ」

「おかえりなさい。今回はボウルルームでフランス料理を皆さんでいただくから、座席割りをしっかり把握しないとね。寒かったでしょう? 早くお風呂に入りなさい」

 個展といっても、結婚式の披露宴を行うような大広間で行う。ここまで大規模な展示会は初の試みだ。

「うん」

 京極さんのおかげで寒くはなかったが、彼に送ってもらったと言ったら上がってもらえばよかったのにと返ってくるのがわかっていたから、リビングを後にした。

 廊下に出てすぐ階段があり、私は二階の自分の部屋へ向かう。

 間取りは一階にリビング、応接室、キッチンとダイニングルーム、母の部屋に生前の祖父母の和室、お風呂と洗面所。二階には四部屋あるが、私のひと部屋しか使っていない。

 華道教室のお稽古の場は、離れの茶室になっている。

 ふたりで暮らすには広すぎる家だ。庭も四百坪以上あり、樹木などの手入れにも庭師を雇うので維持費がとてもかかる。
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