財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
偶然会えて食事の約束まで出来てうれしいが、ふと小玉さんの顔が浮かぶ。恋人がいるのにふたりで食事に行くなんていいのかな……。自分だったら嫌だけど、私なんて女性にカウントされていないんだろうな。
とぼとぼと歩を進め、自宅のドアの鍵を開けて中へ入る。
この家に住んでいるのは母と私だけ。
父親とは私が五歳の頃に浮気が原因で離婚している。
母が祖母の跡を継いで名雪流の家元になったのは、父と離婚する一年前。仕事に打ち込む母に不満が募った父は浮気をしたようだ。〝ようだ〟というのは、はっきり母から聞いたのではなく、兄が祖母と話をしているのを聞いたからで、そのときはショックを受けてしばらく笑顔になれなかった。
それ以来、母は名雪流のため、家族のために家元として邁進していった。
そんな母が大好きなので父のことは尋ねられず、今どこに住んでいるのか、生死さえもわからなかった。
リビングに母はいて、今度開かれる個展の出席名簿を確認していた。
五十歳の母は和風美女。面長で一重。着物が良く似合う。私は父に似たようで、はっきりした二重で、瞳や髪の色が薄い。
とぼとぼと歩を進め、自宅のドアの鍵を開けて中へ入る。
この家に住んでいるのは母と私だけ。
父親とは私が五歳の頃に浮気が原因で離婚している。
母が祖母の跡を継いで名雪流の家元になったのは、父と離婚する一年前。仕事に打ち込む母に不満が募った父は浮気をしたようだ。〝ようだ〟というのは、はっきり母から聞いたのではなく、兄が祖母と話をしているのを聞いたからで、そのときはショックを受けてしばらく笑顔になれなかった。
それ以来、母は名雪流のため、家族のために家元として邁進していった。
そんな母が大好きなので父のことは尋ねられず、今どこに住んでいるのか、生死さえもわからなかった。
リビングに母はいて、今度開かれる個展の出席名簿を確認していた。
五十歳の母は和風美女。面長で一重。着物が良く似合う。私は父に似たようで、はっきりした二重で、瞳や髪の色が薄い。