財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 翌日の日曜日、上野駅からほど近い湯島にある名雪流の事務所に、イベント企画会社の社長と副社長が打ち合わせにやって来た。

 ( なか)( やま)社長は五十代くらいの口ひげを生やした中肉中背の男性で、副社長は三十代くらいの( かく)( たに)という女性。彼女は一年前まで大手広告会社で働きクリエイターとして何度も賞を取っているとイベント会社の実績などが書かれたリーフレットにあり、今回の個展のポスターや招待状のハガキなどのデザインも角谷さんが担当した。

 このイベント会社を紹介してくれたのは、うちと取引をしている大手の花屋『Wファクトリーフローランス』の( わが)( つま)( かつ)()社長だ。

 父親から事業を任され、去年三十五歳で社長になっている。業界では毎月花を届ける販売システムをいち早く構築するなど、やり手の社長らしい。

 私も一度母に同行して我妻社長から懐石料理の接待を受けたことがあった。そのときの印象はあまり残っていない。気さくなごく普通の男性だった。

 個展は高輪にある高級ホテルの大広間を借り、初日から三日間は師範たちの作品を展示して入場無料で観覧客を募り、最終日は展示した師範三十名の食事会をする予定で、名雪流では初の試みになる。
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