財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 そして、大阪でも同じく四月に個展が決定している。

 師範からの参加費、花などにかかる実費は徴収するが、このイベントは名雪流をより広く世間に知ってもらうために、東京と大阪で宣伝費もかけて約一千万円もの投資をする。

 大金を投じることに不安はあったが、家元の母は将来私に名雪流のすべてを託すまでに、少しでも裾野を広げておきたいという思いで一大決心したようだ。

 今日は費用の三分の二に当たる六百万円を前金として支払う日で、最終的な打ち合わせになる。手渡しでの支払いのため母は大金を用意していた。現金払いだと少し割引してくれるとの提案を受けた形だ。

「招待状の印刷がこちらの手違いで遅くなっており申し訳ありません。水曜日にこちらに届くようにしておりますので」

 角谷さんがすまなそうな顔で謝罪する。

「必ずお願いします」

 まだ三週間ほどあるし、生徒さんには師範から口頭で個展があると伝えてあるので、集客の心配はいらないかと思うが、やはり招待状は一カ月前に送っておきたかった。
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