財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 翌朝。朝食を慌ただしく食べ終え、自分で色素の薄い茶色の髪をハーフアップにして髪飾りをつける。

 メイクも終わっており、あとは着付けだけ。

 着物と袴一式は、今は使われていない祖父母の部屋に用意してあるので、自室を出て母を探す。

 リビングやキッチンにはいなかったので、すでに祖父母の部屋にいるのかも。

 廊下を進み祖父母の部屋に歩を進めると、障子が開いていた。

 やっぱりここにいたんだ。

 一歩近づいたとき、部屋の中から母の声が聞こえた。

「名雪流はどうなってしまうのでしょうか……。すべて私のせいです……」

 すぐに母が仏壇に手を合わせて話をしているのだとわかった。

『私のせいです……』

 母だけのせいじゃない。もちろん家元として諸々の決定権は母だったけれど、あの企画会社に不審なところはなかった。しかも我妻社長の紹介だったし……。

 中山社長と角谷副社長はうちと商談を進める中、大金が要りようになったのかもしれない。もしそうだとしても彼らを擁護するなんて気持ちはさらさらない。

 お金を返してほしいだけ。

 開いていた障子から顔を覗かせると、やはり仏壇の前で正座をしている母のうしろ姿があった。
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