財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
「……では、克己さんと呼ばせていただきます」

「そうしてください」

 克己さんはホッとした様子で、チーズソースのかかったニンジンをパクッと口に入れた。

 食事をしながら、克己さんは自分が姉のいるふたりきょうだいや、ご両親は東京を離れて、長野に移住した話をした。

「克己さんのお住まいは?」

 あまりにも興味がなさそうに見えるのではないかと思うと、申し訳なくて住まいを聞いてみる。

「青山のマンションに住んでいます。2DKなので、結婚が決まれば都内の広いマンションか一軒家を探しましょう。あ、でも家元をあの大きな家でひとりにさせてしまうわけにはいかないですよね」

 そうだ……私が結婚したら、あの家にはお母さんだけに……。

 黙ってしまうと、克己さんが取り繕う笑みを浮かべ、「おいおい考えましょう。悪いようにはしません」と言った。


 デザートを食べ終えて食事が終わってレストランをあとにして、エレベーターホールへ歩を進めていると克己さんが口を開く。

「まだ八時半です。バーラウンジでお酒でもいかがですか?」

「あ……すみません。明日は大学の謝恩パーティーが昼間にあるので、今日は……」
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