財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
「そうでしたか。明日謝恩パーティーが。それなら無理を言うわけにはいきませんね」

「申し訳ありません。今日はごちそうさまでした」

 小さく笑みを浮かべて、頭を下げた。

「タクシーで送りましょう」

「近いので気になさらないでください。私を送ったら遠回りになります」

 そう言った途端、克己さんが苦笑いをする。

「あなたは男心がわかっていないなぁ」

「え?」

「まだ一緒にいたいんですよ」

「あ……」

 まったく頭になかったので戸惑う。

「送らせてもらってもいいですか?」

「……はい」

「良かった。エレベーターが来ました。行きましょう」

 ふいに手を握られて、開いたエレベーターの中へ進む克己さんに誘導されて隣に立った。

 いまだ手を握られたままで、どうしていいかわからない。

 エレベーターが一階に到着し、エントランス前に止まっていたタクシーに乗った。

 後部座席に乗っても握られた手は放されない。

 困惑しかないが、手を放す理由が見つからない。

「居心地が悪そうですね」

 突然ずばり指摘をされて、隣に座る克己さんを見る。
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