財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 水道橋のホテルでの卒業謝恩パーティーは、色とりどりのパーティードレスを身につけた女性やネクタイの色や形で遊んでいるスーツ姿の男性の参加者でごった返し、ボウルルームは活気があふれていた。

「紗世~」

 クロークで春コートを預けたあと、会場の入り口でキョロキョロしていると、侑奈と加茂君が近づいて来た。

「侑奈、加茂君」

 普段は思わないのに、いつも一緒にいて相思相愛のふたりがうらやましいという気持ちに襲われるのは、昨日克己さんと会ったせいなのだろうか。

「ふたりとも早かったのね」

 まだ開催時刻まで十分ほどある。

「まあね。卒業したら寂しくて。早く紗世やみんなに会いたくなったの」

 すんなり気持ちをさらけ出せる侑奈は本当にかわいい。

「紗世、めっちゃ綺麗よ。今日は何人に声をかけられるかしら。ね、雅則」

「だな。まずは飲み物をもらいに行こう」

 卒業謝恩パーティーは軽食のブッフェ式で、教授たちの席はあるが、卒業生たちは立食形式だ。もちろん立って食事できるようにテーブルはたくさん隅に置かれている。
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