財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 京極さんは湾岸エリアにある五つ星ホテルの地下駐車場に車を止め、助手席のドアを開けて私を下ろした。

 数歩のところにある会員専用エレベーターに乗って、専用フロアへ向かう。

 道路が若干混んでいたので、十八時を少し過ぎている。

 二十階建てのホテルの十五階からが会員専用フロアで、エレベーターを降りたところで男性コンシェルジュが待っていた。

「京極様、お待ちしておりました」

 パリッとした黒いスーツ姿の五十代くらいのコンシェルジュが、丁寧にお辞儀する。

「お久しぶりです。今日は特別な女性を連れてきたのでよろしくお願いします」

 お久しぶり……? 隠れ家であるこのホテルに小玉さんを連れてきていないの?

 それよりも〝特別な女性〟という表現が気になったが、すぐにぬか喜びをするのはやめよう。きっと京極さんはホテル側にそう話すことで最高の対応を求めたのだ。それに亡き親友の妹だから特別な女性という意味だと解釈できるもの。

 天井が高く窓も大きいロビーは開放感もあってラグジュアリー感がたっぷりで、大学の入学祝いで一度だけ来たときと印象は変わらない。

 四年前は初めての五つ星ホテルの会員専用のフロアに気圧されていたが、今の私はずいぶん大人になったので動じない。

 あのときは昼間で、大きな窓からは海が眺められた。
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