財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 願いを聞き届けてもらえてホッと安堵した。

 京極さんは席を立ち、私のところへやって来て椅子を引く。

 立ち上がってみると、思ったより足がしっかりしない。

「行こう」

 私を促した彼は向きをドアの方へ変える。

「あ、お花とプレゼントを」

 花束へ手を伸ばそうとすると、京極さんの手が肩に置かれて止められる。

 素肌に大きな手のひらを感じて、大きくドクンと鼓動が跳ねた。

「そのままでいい。スタッフがやってくれる」

 歩くように軽く押したその手は離され、彼は私のパーティーバッグを持ってドアに歩を進めた。

 好きな人に触れられるって、ドキドキが止まらなくなるんだ……。

 ドアを開けたところに待機していたスタッフに京極さんはテーブルに残っている荷物を頼み、ペルシア絨毯の敷かれた廊下の先にあるバーへ向かう。

 そこは隠れ家のような雰囲気で、私が一度も足を踏み入れたことのない空間だった。明かりはしっとりと落とされ、艶やかな木材のカウンターの向こう側に高級なお酒やリキュールのボトルが並べられている。
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